RAIDには「RAID0」〜「RAID6」までのレベルがあります。
「レベル」と書くとピンと来ないかも知れませんが、要するに複数の
HDDをどのように使うか、という使い方の種類です。
構成するHDDのとかソフトウェアのバージョンなどとは関係なく、
便宜的に0から6までの数字を付けて呼ばれているだけです。
俗に「ストライピング」とも言われている使い方で、IDE RAIDでは
比較的おなじみの使い方です。これは複数(説明の都合上2台
とします)のHDDを「交互」に書き込むイメージです。大きなファイル
を1台のHDDに保存すると時間がかかりますが、2台に分けて書き
込んでおけば、読み出すときに両方からデータを取得できるのでそ
の分高速になるという理屈です。実際には交互とは限りませんが、
2台のHDDからデータが転送されるのでベンチマークや体感速度は
向上します。もちろんHDD2台分の大容量ディスクとして使えるこ
とになりますから、もともとの容量の小さいHDDをRAID0で組み合わ
せて大容量ドライブにできるというメリットもあります。
しかしRAIDの「R」である「冗長性」はRAID0にはありません。データの
保護には何のメリットもないばかりか、2台1組でしか使えないため、
どちらかがクラッシュすれば両方のドライブのデータが失われることに
なります。ですからクラッシュの可能性も高くなります。このためRAID0は
純粋な意味でのRAIDとは呼べず、RAIDとは別物と考える人も少なく
ありません。
RAID1は「ミラーリング」と呼ばれる、RAIDの基本発想に基づいた
使い方です。つまり2台のHDDにまったく同じデータを保存します。
それぞれのHDDは独立した存在になるので、どちらかがクラッシュ
しても片方からデータを復旧することができます。RAIDコントローラや
RAIDソフトウェアは復旧作業も自動的に行うので安心して使えます。
その代わりRAID0とは正反対に、HDDの容量は2台あっても1台分として
しか使えません。速度に関しても、複数のHDDに同時に書き込むため、
1台での運用に比べてごくわずかですが遅くなります。
RAID 0と、RAID 1を組み合わせたシステム構成でRAID 10、RAID 1+0
などと表記されるメーカーも多いです。
RAID 1による安心性と、RAID 0による高速性を兼ね備えたシステム構成
です。最低限必要となるディスク台数は4台で、ディスク容量はRAID 1と
同じく半分になります。
RAID2/3/4は基本的な考え方は共通しています。いずれもデータとは別に
エラー訂正用のデータ(パリティ)を作り、それを別のドライブに保存する
ことで信頼性を向上させています。
RAID2/3/4は2台では不可能、4台とか8台のように多くのHDDでRAIDを
構成する場合に使われます。たとえば8台のHDDにそれぞれストライピン
グでデータを書き込み、別の4台のHDDにパリティ情報を保存しておき、
エラーが起こっているかどうかを常に検査しながら使い続ける、といった
構成がRAID2です。相当大規模なシステムになるので、一般的にはあまり
使われていません。
RAID3は上記の例では4台必要だったエラー訂正用(パリティ)のドライブ
が1台で済むよう簡略化させたものと考えれば良いでしょう。こちらは
ある程度使われていますが、やはり個人で使うものではないと思います。
RAID4はデータを分散して保存する単位と、保存の仕方が若干違います
RAID4はほとんど使われていないので名前だけ紹介です。
RAID0とRAID1が個人向けの単純なRAIDとすれば、業務用の信頼性の
高いRAIDとして広く用いられているのがRAID5です。単純に説明すれば
RAID2/3/4ではエラー訂正用の情報(パリティ)はデータとは別のHDDに保
存していたのに対し、パリティもそれぞれのHDDの中に同居させるようにし
たのがRAID5です。ですから使用するHDDに区別がなく、すべてのHDDに
データとエラー訂正情報が書き込まれています。
RAID5はエラー訂正情報(パリティ)を記録する容量がHDD 1台分であっ
たのに対して2台分必要とします。これはエラー訂正情報を2次元としたこ
とで同時に2台のHDDが故障しても復元することが出来るという信頼性を
向上させたシステムです。
最低4台のHDDが必要となります。
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